今年2024年の始まりは、元日の「能登半島地震」というショッキングな出来事で幕を開けました。また翌日には、羽田空港での航空機事故も起こり、お正月の穏やかで華やいだ雰囲気が一変して、何とも不安を掻き立てられてしまいそうな一年の始まりでした。能登半島地震では、お正月で帰省中だった家族も巻き込まれて犠牲になるなど、多くの命が失われたことに心から哀悼の意を表したいと思います。
さて、ウクライナ戦争のゆくえや中東紛争の悪化拡大の懸念など、この先の世界情勢が今まで以上に不透明感を増しています。米国の大統領選挙の結果も大いに気になるところで、このような将来への不安と恐れ、そして怖さを感じながら、2024年度の学術集会を担当することになりました。今回のメインテーマには「経営者に求められる能力と経営の質」を掲げ、サブテーマを「深刻化する労働力不足と働き方改革のゆくえ」としました。会期は2024年11月8日(金)、9日(土) の2日間で、久しぶりに参集型を中心にしようと考えており、東京駅日本橋口にあるステーションコンファレンス東京で開催する予定です。
日本医療経営学会は、ニューヨーク市立大学の心臓外科の教授であった廣瀬輝夫先生が、米国に比べて立ち遅れている日本の病院経営を質的に向上させることを目指して、日本在住の研究者などに呼びかけて23年前に設立されました。廣瀬先生は既に亡くなられましたが、その後を私の恩師である日本大学医学部名誉教授の大道久理事長が引き継いで現在に至っています。学会員の数は400名程度と決して多くはありませんが、元気のよい若手の病院経営者、そして最近では医療資格を持つ起業家なども集まり始めていて、学会活動が今までとは少し違った趣を醸し出すようになってきています。
そんな中で今回の学術集会を担当することになりましたが、わが国では職場でのパワハラやセクハラなどの事案が後を絶たず、また消費者の信頼を裏切るような企業不祥事が頻発しています。このような時代背景を意識して、今回の学術集会は「経営者の能力」と「経営の質」に焦点を当てて、「人を大切にする経営」という文脈でプログラムを組み立てようと思っています。そして、焦眉の急として対応が迫られている「労働力不足」と「働き方改革」も折り込みながら、識者を集めて議論を展開することを計画しています。ぜひご関係の方々においては奮ってのご参加を賜りたく、またご関心をお持ちの企業・団体様におかれましては、ご支援とご協力を切にお願い申し上げる次第です。
第23回日本医療経営学会学術集会会長
メディカル コンサルティング オフィス・JIN 代表 寺崎 仁